PyCon JPイベントの座長と当法人との関係

一般社団法人PyCon JP Association(以下、当法人という)は、毎年PyCon JPを主催しています。 2013年に法人が立ち上がり、法人設立後のPyCon JP 2014の開催から現在(2024年に投稿)まで、以下の方法で、イベント運営を行っています。

方法

当法人は、毎年開催されるPyCon JPのイベントを代表する 座長 を、任命しています。

公募・任命方法

当法人の運営会議を経て、 当法人のBlog にて、次年度の座長の公募を行っています。

公募には条件を付けていますが、だれでもが応募できる形をとっています。 公募はイベント開催時に、次年度座長が決まっていることが望ましいと考え、イベント開催の数ヶ月前に実施することが慣例となり、運営会議で毎回議決しています。

任命の決定は例年以下のルールを採用しています。

  • 複数人の立候補者が出た場合は、今年の主催メンバーやスタッフなど皆さんの意見を取りまとめた後、当法人の理事にて決定します。

  • 期間内に立候補者が出ない場合は、イベントの中で開催する「PyCon JP Association Meeting」内で議論をし、会議中の立候補募集または追加募集の方法を決定します。

いずれの場合も、最終的に任命するのは、理事の役割となっています。

座長任命後

座長には、最大限の自由を認めています。 予算的な大幅な赤字や法人のミッション並びに法律に反しない限り、当法人及び理事がイベントに対して発言権を持たないこととしています。

一方、当法人の主催イベントであることに変わりがないこともあり、当法人の運営ミーティングでの状況確認、個別に理事から座長に対して、助言、相談などを行っています。

さらに、理事や当法人の運営メンバーがイベントの主催メンバーやスタッフになることもあります。 イベントに関しての決定権は座長が持つものの、理事や過去の経験をもった人材として活動をしているので、理事の決定権などを行使することはできないものとして運営しています。

分離運営

上記の方法で説明した通り、当法人(特に理事)とイベント座長の意思決定プロセスは分離されています。

なぜ分離しているのか?

PyCon JPイベントは、当法人の理事の意向だけで作るものではないと考えています。 関係しているメンバーやスピーカー、参加者、スポンサー企業など多様な意見を取り入れ、多くの方々のために、多くの方々が同じ立場で考えて進めるほうがより良いイベントが作れると考えています。

当法人の理事が直接イベントの運営を行うと、当法人の意向が強くでてしまうと思います。 それを防止するために、PyCon JPの座長が独立している必要があると考えています。

経緯

当法人が立ち上がった2013年3月には、すでにPyCon APAC 2013が東京で開催されることが決まっていました。 その当時の座長が、寺田 学で、当法人の代表理事も同じく寺田 学でした。 つまり、代表理事と座長が同じで当法人の運営が始まったということになります。

当時の当法人の運営ミーティングで先に示した分離したほうが良いという意思決定が行われ、翌年のPyCon JP 2014の座長から分離する方法になりました。 イベント前に座長を公募し、2014年から分離した方法でのイベント運営に移りました。 初回の2014は、当時から理事であった鈴木たかのりさんが立候補され、座長に決まりました。

その後、PyCon JP 2016の座長を決める際には、鈴木たかのりさんの他1名の立候補がでましたが、引き続き鈴木たかのりさんにお願いすることになりました。 PyCon JP 2017以降は、理事以外が座長になるという、本来の分離した運営という考え方に近い形に移行できました。

当法人の理事がPyCon JPの座長になることが、良い・悪いということは決めておらず、分離しているという運営を心がけています。

よくある質問

給与・手当

当法人の理事、PyCon JPの座長および他のメンバーにも給与は支払っていません。 完全なボランティアとしての関わりをしています。

ただし、講師やブース担当などについては、謝礼を支払いをしています。 またそれらに関わる旅費交通費などの費用を負担する場合があります。

責任範囲

当法人の理事には、法律的な一定の責任があります。 これは、会社法などで定められている、有限責任です。

座長に法的な責任は、明確にはありません。 イベントを作る立場としての、コミュニティ精神、ボランティア精神のなかでのイベントを作り・管理する役割は持っています。

そもそも理事って何?

当法人は、一般社団法人の法人格を持っています。 当法人の 定款 に理事を定めています。

当法人には、社員という立場があり、現在は3名の社員がおります。 当法人の社員は理事の任命などをする権限を有しています。

理事は、当法人の職務を執行する権限があり、代表理事は当法人を代表しています。

(補足)2024年の体勢と思い

ここまでは、法人設立以降の「法人理事」と「イベント運営チーム」との関係について紹介しました。

当記事を投稿している2024年9月は、PyCon JP 2024の開催直前です。 PyCon JP 2024は、座長の立候補者がいなかったこともあり、現役の理事でもあり、座長を経験している、鈴木たかのり、吉田俊輔、寺田 学の3名で共同座長という運営を行っています。

はじめての、共同座長で運営を行っています。 さらに、全員が理事であるという状況は、理想とは異なっています。 共同座長の立場と当法人の理事の立場という2つがあり、難しさは感じています。

執筆: 2024年9月14日 寺田 学